書評「語学力ゼロで8カ国語翻訳できるナゾ」 水野麻子著







先日、人生の先輩でもあり私のメンターでもある愛知の文具王ことフミヒロさんにお会いしました。フミヒロさんとは定期的に会っています。2人ともお酒は強くないのでいつも全くお酒を飲まず食事をしながら話をします。今回はうどん屋で1時間ほど食べながら話をした後、スターバックスでハーブティーを飲みながら1時間半ほど話をしました。男2人でお酒も飲まず2時間以上も盛り上がってると言う話を妻にすると「信じられない!」と言われます(笑)

フミヒロさんと会ったときに必ず行う儀式が本の交換をすること。毎回お互いお勧めの本を2〜3冊交換します。今回フミヒロさんからお勧めいただいた3冊の中の1冊が「語学力ゼロで8カ国語翻訳できるナゾ」。

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フミヒロさん曰くあまりにも本の内容が素晴らしすぎて著者の水野麻子氏に手紙を書き、実際に東京まで足を運んで会ってきたとのこと。その行動力がすごいなと。普通は本を読んで良かったなと思って終わってしまいますが、そこがやはり違う点。本には著者のサインがしてありました。フミヒロさんの書棚にある最も大切にしている本のコーナーの一冊をいただきましたがさすがにこの本はお返しするつもり。

この本は翻訳について説明している本ではありますが、実はもっと深い内容が書かれており仕事で活かせるようなことがたくさん書かれています。

いつものように、紹介していきます。

何事においても細分化が必要なのだと言うことを、頭に入れておいてください。「品質を上げるにはどうすればいいか?」というような漠然とした質問には漠然とした答えしか返せないと言われます。漠然とした課題にも、漠然とした成果しか出しようがないのです。誰にでもわかるようなはっきりとした成果を出すためには、まず課題のほうを明確にする必要があります。明確にするとはひとことでいえば、細分化です。そしてできるだけ細かく分ける方が、短期間で成果を出しやすいのです。

「できるわけがない」は根拠がない。
もし、あなたの心の中にも「◯◯なんて、できるわけがない」と言う思いがあるのなら、その根拠について考えてみてください。何を根拠に、できるわけがないと生きるのか。その本気は、果たして本当に適切なのであろうか、と。
昔の人が「絶対にできるはずがない」と思っていた-人間が空を飛ぶこと-飛行機の発明や、その他数々の偉大な発明に比べたら、翻訳者が直面する課題など小さなこと。その多くは、「できるわけがない」と言う思い込みの壁を取り去って、ちょっとした工夫を積み重ねるだけで実現可能でしょう。

8カ国語語もの翻訳が可能だったのは、対象を極めて狭い範囲に絞っていたからです。

あえて磨くべき「語学力を挙げるとしたら、それは外国語よりむしろ母国語の力であるはずです。なぜなら、優れた翻訳分を生み出すには論理的思考力が不可欠だからです。思考は母国語を介してなされるものであり、思考を支える読解力や理解力も母国語の力に依存します。だからこそ、あえてあげるならば母国語の力なのです。これはどんなに慣れた言語・慣れた分野の原文であっても、同じことです。外国語の単語を覚える暇があったら母国語を磨くことに注力するほうが、よほど効果的ではないかと思えるほどです。

翻訳は犯罪捜査と同じ。あきらめずに、できそうな事は何でも試してみればよいのです。やってみなければ、結果は誰も知る由のないことなのですから。

眺めるだけでできることをしてしまう。品質とスピードを同時に高めるには、全体から部分へという流れにすると効果的です。具体的には、最初に翻訳案件全体を俯瞰します。この段階では、細かい内容を理解する必要はありません。全体の構成とキーワードを把握することが目的です。

作業速度のことを視野に入れるようになったら、ぜひとも気にしたいのがキーボードです。今のところオススメは、東プレの「Realforce」。少々値段は高めですが使いやすさで提供のある製品です。私の場合、キーボードとは関係なく入力にはかなり慣れている方ですが、それでも「Realforce」を使うと、同じ時間大に入力できる文字数の差が歴然です。

仕事にしても他のことにしても、「〜だからできない」と言うできたい理由探しをすれば、いくらでも出てきます。

 

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この本で得た最大のポイントは「細分化」。これは仕事を行う上でとても重要なこと。仕事が複雑すぎてごちゃごちゃしてる場合はまずは「細分化」すればいいということに改めて気づきました。実はこの本は単にフミヒロさんのお気に入りということに加え、以前私が仕事の悩みを軽く相談したときに「問題が複雑に絡んでいる」ということを言ったのを聞いて持ってきてくれたとのこと。その気遣いが嬉しくて、嬉しくて。また尊敬度があがってしまいました。

話は少々逸れますが、キーボードは偶然にも著者と同じ「Realforce」を使っています。少々お値段はしますが本当に素晴らしいキーボードなので長時間文字を打つ方は必ず価格だけの価値は見出せます。これ以上のキーボードはおそらくありません。最初自宅で使っていましたが会社用の外付けキーボードとしても使っています。

最後にこの本の巻末の結びの一節を紹介して終わります。

本という媒体には、読者が抱えている問題の「答え」を示す力はありません。書いてある内容とは無関係に、そもそもそういうものではないのです。でも、問題解決のヒントを示すことならできます。それまで読者の中にはなかった新しい考え方、着眼点、価値観、情報、物事に対する取り組み方・・・。いずれも、読者が自分の殻を破って大きく成長するための栄養素そのものと言えるでしょう。本書にある発想やテクニックをぜひ自分なりにアレンジしてみてください。あるいはアレンジを助けてくれそうな素材を探しに、街に出てみるのも良いでしょう。きっと、素晴らしい解決策が見つかりますよ。

 

本は本当に素晴らしい!人生が豊かになります。

ほな!