書評「仕事をしたつもり」海老原嗣生著

先日、知人が海老原嗣生氏の講演会に参加しました。筆者も行きたかったのですが都合がつかず断念。参加した知人に内容を聞いたら、講演内容の多くはこの本にまとめられているとのことで早速読んでみることに。

 

日本では昨年ぐらいから、やっと「働き方改革」という名の下、少しずつ仕事のやり方を見直す企業も出てきましたが、まだまだ旧体質を引きずったままの企業が大多数。筆者自身も先日まで残業体質の組織に属しており、そこから1人だけ抜け出すのは不可能でした。この春に異動したところ、業務量は適正になり、残業はほぼ無くなりました。

残業になる理由は精神的なものを除いて二つに大別されると思われます。一つは組織・部下の業務量を把握していないトップ層の「マネジメントスキルの欠如」、もう一つは「本人の業務スキルの低さ」、この二つの理由で残業が発生します。

適正な業務量であれば、仕事が早い人なら残業をせず帰れますし、仕事が遅い人は残業になります。最近はパソコンでの作業が多くを占めており、ブラインドタッチができるかどうかでも相当スピードが違います。また、エクセルの関数を知っているか知っていないかでも大幅に作業効率が変わってきます。

これに加えて、上司が帰らないと先に帰りにくいだとか、自宅に帰っても居場所がないので早く帰りたくないなどの精神的な側面により残業が発生することもあります。

おそらく多くの企業において「仕事をしたつもり」の人が大勢います。本人にはそのつもりがなくても結果的に「仕事をしたつもり」になっているかもしれません。

この本で紹介されたいつくかの項目を挙げていきます。

日本企業にはびこる「量の神話」について

効率的にテキパキと仕事をこなし、定時に帰宅すると上司は「なんだ、早く帰って」と評価されず、適当に時間をつぶし、残業すると「遅くまでなかなかやるじゃないか」と評価される風土が根強く残っています。またとりあえず資料は量があれば評価される企業もまだまだ多い。

 

思考停止の産物

たとえばタクシーを使えば5分で移動できるのに「業務でタクシーを使っては行けない」という規則のため40分以上も時間をかけなければならない。生産性の観点から考えるとあり得ない事例。

裏紙コピーは意味がありません。本来一度使った紙はコピーに向いていません。またホッチキスがついたままの裏紙でコピー機が壊れたり、その他、表か裏か、どちらが必要な書類なのかわからなかったり、社内秘の資料が裏に使われていて漏れるなどの弊害があります。

マイ箸やプラスチックの箸を使うとエコだと言われていますが、廉価品の割り箸は本来捨てられるはずの間伐材で作られているため、割り箸を使うのをやめても、間伐材の廃棄が増えるだけで全く環境にプラスではありません。箸を洗う洗剤や水、食洗機の電気代、人件費などを考慮すれば割り箸のほうがコストは安くあがります。エコのために割り箸を使うのをやめるのは思考停止の産物。

 

「過剰サービス」という名の「仕事をしたつもり

商品やサービスを提供する側は、カスタマーハラスメントに屈し、媚びたり過剰サービスを行ったりすることで「仕事をしたつもり」になってはいけません。三波春夫の「お客様は神様です」というフレーズが誤解されたままひとり歩きして「クレーマー」の恰好の言い訳となっている日本ではなかなかこのタイプの「仕事をしたつもり」はなくならないでしょう。

日本の生産性が欧米に比べて三分の一程度しかない理由はこういった「仕事をしたつもり」にあるのかもしれません。もっと効率よく働き、家族と一緒に過ごしたり、社外の人と交流したり、旅行へ行ったりした方が絶対に業績は上がります。

これから日本は人口オーナス期を迎えます。人口ボーナス期のように長時間働いたからといって業績は上がりません。いかに短時間で効率よく働くかが重要。特に「思考停止から脱却し考えること」が大切になっています。

筆者自身もこの春からは働き方を見直し、有給もしっかり消化し、できるだけ残業をせず家族と触れ合う時間を増やしていきます。

 

ほな!

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