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刈谷市美術館で開催中の「いきものたちはわたしのかがみ ミロコマチコ」へ行ってきた!見どころ、所要時間は?

刈谷市美術館で開催中の「いきものたちはわたしのかがみ ミロコマチコ」へ行ってきました。刈谷市美術館は定期的に素敵な展覧会を開催しており、過去にはぴあの表紙で有名なアーティストの「及川正通特大号展」、金魚絵師の「深堀俊介展」、絵本作家の「せなけいこ展」など興味深い展覧会を鑑賞してきました。6年前のブログは文章が稚拙で恥ずかしい…www。

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それはさておき、ミロコマチコ氏はデビュー絵本『オオカミがとぶひ』(2012、イーストプレス)が、「第18回日本絵本賞大賞」を受賞し、まさに彗星のごとく出版業界に登場しました。その後も、国内外の絵本賞や文芸賞をたて続けに受賞し、新作が常に期待される絵本作家のひとり。

いっぽうで、画面いっぱいに生物や植物をのびのびと描いた作風で知られ、画家としての活躍にも注目が集まっています。今回の展覧会では、近作・新作を中心とした絵画や絵本原画から、立体作品、書籍の装画、アートディレクションまで200点以上を展示し、その魅力が余すところなく紹介されています。

デビューから約10年、ミロコマチコ氏は、絵本作家、そして画家として、男女問わず、幅広い世代から支持され、デザイナーやアーティストからも一目置かれる存在となりました。とりわけ近年の表現は、従来のエネルギッシュで破天荒なイメージに加えて、どこか霊的な存在をも感じさせるものへと変化し、その世界のさらなるひろがりを感じさせます。自然豊かな奄美大島へ住まいを移し、これまでとは異なる時間の流れや環境のなかで暮らしはじめたこと、そして、この地の伝統的な染色文化に触れたことも、少なからず影響しているのかもしれません。

作品は一見、理解不能な多く頭の中が「???」となります。一体、どういう思考回路だとこういう絵になるのでしょうか。いい意味でずっと絵が下手なまま大人になり、洗練されることなく今に至っている感じ。普通は描いているうちにだんだん上手くなって洗練されてしまうのですがミロコマチコ氏の場合は、そうならないことが才能なのでしょうか。

写真撮影はロビーに飾ってある作品のみだったので会場内の作品は紹介できません。作風は時代によって変わってきていますが、公式サイトや下記の作品を見て興味を持たれた方は、ぜひ刈谷市美術館の展覧会へ足を運んでみてください。お子さんがいる方ならきっと楽しめるはず。

展示は1階、2階と会場の外にある茶室にて飾られており、1時間あれば十分鑑賞できます。平日の夕方訪れたこともあり、お客さまはまばらでソーシャルディスタンスは十分(笑)。特に事前予約など無くても大丈夫なので気軽に訪れてみてください。

 

茶室にあったヘビとネズミの話が面白かったので載せておきます。

「ヘビの魔性」

私のうちは農家で長年鶏を飼ってきました。鶏の卵やネズミを狙うヘビは家の周りにたくさんいて、8年ぐらい前はヘビ屋敷と言われるくらいでした。日常の風景の一部になっていたんですが、今ではほんとに見なくなりましたね。

こんなにいなくなってどうなっているんだというくらい。田んぼが減り餌になるカエルなどがいなくなったからでしょう。昔はあまりに普通にいるもので、家の中にいても 特に驚きもしなかったぐらいです。

息子が一歳ぐらいのとき、寝かせていた布団の枕元に2メートル近い青大将がとぐろを巻いているのを見た事もあります。そう、ヘビに睨まれると動けなくなる話、ヘビの魔性っていうんですかね、あれはホントにそうで、ちょうどその場面に出くわした事があります。それも家の中でした。奥の座敷でヘビがネズミを捕まえようとしていたんです。

ネズミは必ず部屋の四隅に沿うようにして逃げるんですが、部屋の角の鴨居の所で動けなくなってしまったのです。ヘビは壁をつたってゆっくり近づいていき、ネズミまで2メートルぐらいの所でピタッと静止するとじっとネズミを睨んでいました。ネズミは震えて金縛りにあったようになって動けません。それから、5分くらいでしょうか、じーっとお互い動かないんです。私もそれをじーっと見ていました。やがて、ゆっくりヘビはネズミに近づき、そしてスーッとじわーっという感じでネズミを口の中に入れていくんです。

とっさにネズミも逃げられそうなものですが、じわーっとゆっくりゆっくり飲み込まれていきました。見ていた私も愕然として、ヘビにはやはり不思議な力があるのかと思いましたね。

うちの鶏の卵もよく狙われて、じわーっと呑みこまれそうなところを何度も見つけたことがあります。ちょうどそれを見つけたときはヘビの首をつかまえて口に手を入れて卵をじわーっと取り出します。平気ではありませんが、貴重な卵ですからね、そこは見逃せません。

 

「ヘビとネズミ」

オレ、ヘビ。お腹ペコペコ。だけど毎日毎日卵ってのも飽きてきた。そうだ、今日のご飯は絶対ネズミにしてやろう。でも卵は動かないけど、ネズミってのはすばしっこいんだよなぁ。どうするかなぁ。そうだ、いいこと考えた。「よう、ネズミ」オレはなるべく気軽な感じで声をかけた。ネズミはびっくりしたものの、この距離だったら逃げられると思って余裕な顔をしている。

「ちょっと相談があるんだが。」
「な、なに。」
「まぁそうビクビクしないで聞いて おくれよ。」
「さっき食べた卵がな、どうやら卵じゃなかったみたいなんだ。」
「それがどうかしたの。」
「どうもさっきから喉の奥でつっかえていてこのままじゃ死 んでしまう。」
「ぼくには関係ないよ。」
「そう冷たいことを言わないでさ。」
「どうしたっていうんだい。」
「おもちってやつらしいんだが」
「お、おもち!ぼくの大 好物さ。いいじゃないか!」
「そのおもちってやつはな、ヘビの体には毒なんだ。喉でゴンニャゴンニャして、もう倒れそうだ。」
「そうなの、もったいない、そんなら ぼくが食べたかったよ。」ヘビはニヤリと笑った。

「それは名案だ。どうだい、オレの喉からおもちを出してくれないか。」
「いやだよ、君の喉なんておっかない。」
「でもなぁ、まん丸くてツヤツヤでふかふかのおもちだったぞぉ。」
ネズミの喉がゴクリと鳴った。

「ちょ、ちょっと覗くだけなら。」
「頼むよ。」
そう言うとヘビはゆっくりとネズミに近づいて行った。大きく口を開けて、
「どうだい、見えるかい?」と聞くヘビ。
ネズミは言った。

「真っ暗で何も見えないよ。」
「もうちょっと奥まで覗いておくれよ。」
「ちょっと先までしか見えないんだ。」
「ああ、おもちは喉からお腹の方へ移動しているみたいだ。」
「だいたい君の喉とお 腹ってどこからどう違うんだい。」

そう言いながらおもちに目がくらんだネズミはゆっくりとヘビに飲み込まれていった。

 

2階のロビーには物販コーナーがあり、Tシャツやポスター、ポストカード、缶バッジ、ピンバッジなどが販売されていました。ようやくクレジットカードなどの電子決済ができるようになりました(^^)今回は特に欲しいものがなかったので何も買いませんでしたが…(笑)

 

「いきものたちはわたしのかがみ ミロコマチコ」

●会期
令和3年4月24日(土)から6月6日(日)まで

●開館時間
午前9時から午後5時
※4月24日(土)は、午後7時まで開館
※入館は閉館の30分前まで

●休館日
月曜日

●入場料
一般1,000円、学生800円、中学生以下無料
※前売券、団体料金の設定はありません。
※身体障害者、精神障害者保険福祉、療育の各手帳所持者及び付き添いの方(1名)は入場無料。入館の際に手帳をご提示ください。

●主催
刈谷市美術館、朝日新聞社

●協力
亜紀書房、朝日出版社、朝日新聞出版、味の手帖、iTohen、岩崎書店、幻冬舎、講談社、小学館、ブレーメン、ブロンズ新社

●後援
愛知県教育委員会

 

 

作家挨拶

作のために、ガラス張りの大きな部屋を借りたときのこと。自然の中にあるその建物は、夜、灯りをつけて絵を描いていると、無数の虫たちが窓に張り付いてくる。虫たちをお腹側から見るのが楽しくて、夢中になって観察していると、不意にピントが虫の奥に合わさり、そこにわたし自身がうつっていた。

「お前はいきものか?」
と、問われたような気がした。ドキリとした。

ずっと自分が生きていることが不思議だった。日々、空気を吸って吐いて、心臓が動いて、生き続けている。けれど、どこか実感がなかった。虫や動物や植物のように生きることに必死になることがない。

ただ唯一、絵を描いている時は生きている実感があった。そしてそれはいきものたちを描いている時に一番感じられた。絵を描くことは出すことのようで入れているという感覚がある。いきものたちを描くことで、わたしは、そのものたちと同じように生きているんだ、ということを取り入れている。それを夜のガラス張りの部屋の中から、虫を通して見たのだろう。

2019年に島に拠点を移した。この島には多数のいきものがうごめいている。それは、実在するいきものばかりではない。草むらの奥、木の上、海面すれすれ、島を覆うほどの大きなもの。物音がする。近寄ってくる気配がする。その時に心に見えてきたもの。そのいきものを描きとめる。それはきっと私自身なのだろう。

 

ミロコマチコ プロフィール

1981年大阪府生まれ。生きものの姿を伸びやかに描き、国内外で個展を開催。絵本『オオカミがとぶひ』(2012年、イースト・プレス)で第18回日本絵本賞大賞を受賞。『てつぞうはね』(ブロンズ新社)で第45回講談社出版文化賞絵本賞、『ぼくのふとんは うみでできている』(あかね書房)で第63回小学館児童出版文化賞をそれぞれ受賞。ブラティスラヴァ世界絵本原画ビエンナーレ(BIB)で、『オレときいろ』(WAVE出版)が金のりんご賞、『けもののにおいがしてきたぞ』(岩崎書店)で金牌を受賞。その他にも著書多数。第41回巌谷小波文芸賞受賞。展覧会『いきものの音がきこえる』が全国を巡回。本やCDジャケット、ポスターなどの装画も手がける。2016年春より『コレナンデ商会』(NHK Eテレ)のアートワークを手がけている。

ほな!おおきに!

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