書評「マチネの終わりに」平野啓一郎著







アメトーークの読書芸人の時にピース・又吉氏とオードリー・若林氏がおすすめしていたのが平野啓一郎著「マチネの終わりに」。この二人がおすすめするなら絶対に面白いとは思っていましたがなかなか手が伸びず時間が経ってしまいました。先日、古本を物色していたら置いてあったので迷いなく購入。

内容紹介 Amazonより
天才ギタリストの蒔野(38)と通信社記者の洋子(40)。深く愛し合いながら一緒になることが許されない二人が、再び巡り逢う日はやってくるのか――。

出会った瞬間から強く惹かれ合った蒔野と洋子。しかし、洋子には婚約者がいた。スランプに陥りもがく蒔野。人知れず体の不調に苦しむ洋子。やがて、蒔野と洋子の間にすれ違いが生じ、ついに二人の関係は途絶えてしまうが……。芥川賞作家が贈る、至高の恋愛小説。

長い間、恋愛小説を読んでいませんでした。記憶にある恋愛小説は江國香織氏の「冷静と情熱のあいだ」が最後。この小説を読んでフィレンツェのドゥーモへどうしても行きたくなり、当時は独身で時間もお金も余裕があったので、すぐ足を運びました。クーポラからは素晴らしい光景が広がっていて感動したのを覚えています。このドゥーモの上で留学で来ていた日本人女性と出会って住んでいる部屋まで招待されたことを思い出しました。その後、特に進展はありませんでしたが…。

話が逸れましたが、「マチネの終わりに」は読んでいて夢中になりました。ここまで、のめり込んで読んだ小説は久しぶり。特に中盤以降はどう展開するのか、ハラハラ、ドキドキしながら読み進めました。この作品は情景描写が素晴らしい。頭のなかに光景が浮かび、ギターの音色が聞こえてきそうな気がします。読み終えてAmazonを見て知ったのですが、完全タイアップCDが発売されており、このCDを聴きながら「マチネの終わりに」を読むとより世界観に浸れます。

この小説の中には「過去は変えられる」という言葉が何度も出てきます。以前は「過去は変えられない」と考えていましたが、最近やっとこの意味がわかるようになりました。間違いなく「過去」は変えられます。

アラフォー世代の男女が織りなす、成熟された恋愛模様。苦しく切なく、それでいて崇高な愛情表現。読後は幸せな気分にしばらく浸れました。最近はビジネス書や自己啓発書を読むことが多いのですが、恋愛小説もたまには読むべきだと改めて気づきました。

恋愛中のあなたも、恋愛から遠ざかっているあなたも読めば幸せな気分に浸れること間違いありません。ハーレクイン・ロマンシリーズはあまりオススメしませんが、この「マチネの終わりに」はどなたにもオススメいたします。

ほな!