伊勢丹HDが2016年1月2日を休業にし3日から営業すると9月に報道がありました。
「2日間正月休みをいただくことで、新たな1年への意欲を高め、全従業員がより一層お客さまのご要望にお応えできる体制を整えてまいります」
とのこと。
すべての店舗ではないものの、これは経営側の大英断。
一日二桁の億を超える売上を切り捨てて従業員を守るというのはなかなかできることではありません。
老舗菓子店の大手などが随分前から働きかけてやっと実現したようで。
その時はあまり話題にならなかったと記憶しておりますが先日、この件がネットで話題となりました。
その時のネットでの反応はほぼ好意的な賛同意見ばかり。
「さすが伊勢丹!」、「よくやった!」など、伊勢丹を絶賛する声が多数ありました。
賛同しているのは同業他社従業員や取引先が多いだろうなとみていたのですが意外にお客様の立場の方々からも多くの賛同の意見が。
「実は正月ゆっくりしたいのにデパートが空いているから行ってしまう。出遅れるといいものがなくなるような気がして・・・」「正月ぐらい休ませてあげてもいいよね」と言った意見が多数上がっていたのには驚きました。
今回の一件でデパート、SC、アウトレット、家電量販店はじめ小売業の三ヶ日の営業は近江商人が唱える「売り手良し」、「買い手良し」、「社会良し」の”三方良し”の真逆で、「売り手悪し」、「買い手悪し」、「社会悪し」の”三方悪し”という最悪な事態だと判明しました。
これでは商売が上手く行かないのは自明の理。
こういう事態になったのはアメリカの言いなりで大規模小売店舗法が2000年6月1日に廃止されてから。
それまで日本という国は正月三ヶ日は商売を休んで商売の神様に感謝をし、家族みんな揃って過ごしている家庭が大半だったのにこれが崩れ去りました。
1月4日だった初商日は1月3日になり、2日になり、とうとう元旦営業が跋扈する事態に。
これでは従業員や取引先の士気があがるはずもなく売上はその日だけを見れば大幅に上がったように見えますが1月全体として並べてみたら前年を割る自体が続いているのが実態。
経営者は「営業日を増やしたのにこの結果なのだから営業していなければもっと悪化していたはず」という論理を振りかざしてきました。
そもそも20年前と比較すると休業日はほぼなくなり、営業時間も大幅に増えているのに売上はどんどん下がっているというのはどう考えても間違っているとしか考えられません。
どんどん人口、年収が減り税金が上がっていく日本で営業時間を拡大するだけでは売上は上がらない。
一部中国人の「爆買い」で大幅に前年を超えている店舗もありますが一時的なものでしょう。
そのうち収束して元の状態に戻るはず。
営業日を増やし時間を伸ばすのが顧客サービス満足度(CS)を向上されるのではなく接客力をあげることがCSを向上させます。
賢い経営者ならそろそろ気づいてもいい時期なのに・・・と思っていたらやはり最初に動いたのは伊勢丹でした。
クリアランスセールの後ろ倒しをしかけたのも伊勢丹。
業界のトップとして現場の意見を聞き真摯に対応する姿勢はさすが。
今回の一件で伊勢丹の評価は一気にあがりました。
何としても売上をしっかりと確保して次年度(再来年)も1月3日から営業、その先将来は以前のように三ヶ日は休んで1月4日からの営業にチャレンジしていただきたく。
従業員だけでなく取引先、そしてなによりお客様もその方がずっといいと思っているのですから。
小売業の経営者の方、ぜひ正月三ヶ日は勇気を持って休業する英断を、そして長くなっている営業時間の短縮を思い切って実行してみてはいかがでしょうか。
従業員、取引先はそう望んでいますし、お客様もそれを許してくれることでしょう。
ほな!