2018年からモスクワ、サンクトペテルブルク、マドリード、リスボン、香港の世界5都市を巡回し、100万人以上の人々を熱狂させた展覧会が昨年、日本にやってきました。横浜からスタートし、大阪での開催を終えて、やっと名古屋へ巡ってきました。
バンクシーはイギリスを拠点に活動する匿名の芸術家。世界中のストリート、壁、橋などを舞台に神出鬼没に活動しています。アート・ワールドにおいてバンクシーは社会問題に根ざした批評的な作品を手がけるアーティストとして評価されている他、テーマパーク、宿泊施設、映画の制作など、その活動は多岐にわたります。
バンクシーの代表的な活動スタイルであるステンシル(型版)を使用した独特なグラフィティと、それに添えられるエピグラムは風刺的でダークユーモアに溢れています。その作風は、芸術家と音楽家のコラボレーションが活発なイギリス西部の港湾都市ブリストルのアンダーグラウンド・シーンで育まれました。
今回、会場となったのは金山にある名古屋ボストン美術館跡地の金山南ビルなので施設としては十分すぎる場所となります。ボストン美術館が閉館してからかなり日数が経ちますが、そのまま空いていたのには少々驚きました。
チケットは基本的には事前にネットで購入するスタイルになっております。現地で当日券も購入できますが空きがないと相当待たなければならないことがあるのと、日時指定前売りチケットは平日1,800円なのが当日券は2,200円と400円も値段があがりますので事前にネットで購入してから訪れることをオススメします。
区切りは30分おきで平日は今のところ、ほぼすべての時間空いていますが土日の午前中はすでに完売している枠もありますので土日に行くなら早めに購入しておきましょう。
なお、訪れる際はスタートの時間ぴったりに行くより20分遅れぐらいで行くのがオススメ。今回、11時30分の回のチケットを購入し10分前に並び11時30分ぴったりに入場しましたがそれなりに混雑していました。1時間40分後にすべて観終わってから再度入口から見始めたら全然空いており、足早に進むに従って混雑していました。
どうやら30分おきのスタート時に人が一番多く、その後は減っていき、また30分後に一番多くなるという波がありその繰り返しになっている模様。なのでスタート時間より20分ほど遅らせて行き、流れに乗って鑑賞すれば比較的ゆっくり観ることができます。
バンクシー展は5階、4階の2フロアでの展開になっており、点数は約70点と予想以上のボリュームがありました。電話ボックスなどのオブジェから、絵画、ムービーなど様々な展示があり、点数がかなりあるため1点、1点じっくり観ているとかなり時間がかかります。
またスマホで聴くことができる無料の音声ガイドが提供されており、それを聴きながら鑑賞すると約3時間近くかかります。音声ガイドはWebブラウザとアプリがありますが、アプリの方が使い勝手がいいので事前にインストールしておくといいでしょう。
音声ガイドには画像が付いているので自宅に帰ってからも楽しむことができます。時間がない場合はあとからじっくり観ることができます。もしくは事前に観て予習しておくのもいいかもしれません。
アプリをインストール後にこちらのQRコードを読み取ってください。会場に行かなくてもバンクシーに詳しくなれます。
展覧会はバンクシー作品の代表的なキャラクターである2匹のドブネズミからスタート。会場は薄暗い照明で作品にスポットライトが当たっています。興味深い作品がたくさん並んでおり脳がビキビキ刺激されます。
個人的には資本主義経済の大量消費に対しての風刺画が心に刺さりました。フードロスをはじめ、アパレルはファストファッションが台頭し、ラグジュアリーブランド含め半分以上は売れずに廃棄される現状は地球に大きなダメージを与えています。
消費について(会場のパネルより要約)
バンクシーの作品で頻繁に取り上げられるテーマの一つが反消費主義。人生の真の価値観は、あちこちからやってくる大量のマーケティング情報に取って代わられ、ときとして恐怖となります。なぜなら、私たちの周りにある多くが嘘だからにほかなりません。私たちの暮らしに欠かせない物やイベント、休暇、その多くはマーケターが特定の経済的問題を解消するために編み出されたもの。
資本主義システムは常により多くのものを買うことで内なる空虚さと孤独感という主観的な間隔を埋めるように私たちを促します。新車を運転させ、より大きな家に住まわせ、流行を追いかけて、服をとっかえひっかえさせようとしています。
こうして私たちは最後には自由を奪われてしまいます。果たしてこれで幸せになれるのでしょうか。
そろそろ、この流れを変える時代がやってきたような気がします。昨年の12月22日に「地の時代」から「風の時代」になったのは偶然ではありません。おそらく今年から一気に世の中の流れが変わります。その他、戦争に対するアンチテーゼの作品も心にぐっと来ます。
そしてネズミのいる某テーマパークをパロディにした「ディズマランド」のムービーはかなりのインパクト。
終盤は代表的なモチーフである社会的弱者をドブネズミに重ねた作品が並んでおりました。
最後の展示は有名な「赤い風船に手を伸ばす少女」の作品で終了。
鑑賞時間は作品をざーっと観るだけなら1時間、作品をじっくり観て何箇所かあるムービーをすべて観るなら2時間、音声ガイドを聴きながら作品を観てまわるなら3時間はかかります。ゆっくり時間に余裕をもって訪れることをオススメします。
会場内は撮影自由のためみなさん作品を撮ったり一緒に写真を撮ったりして楽しんでおられました。撮影をOKにすれば多くの方がSNSに投稿して展覧会の情報が拡散します。
会場出口にはインスタグラムのオリジナルカメラエフェクトのQRコードがあり読み込んで撮影すると顔にペイントされます。
今の時代、集客したいなら主催者は撮影OKにしてSNSにアップしてもらえるような仕組みを作らなければなりません。
そのほか、バンクシーは「天才」それとも「反逆者」どちらか?という投票システムがあり、QRコードを読み込んだ時点で投票されます。現時点では63.5%が天才、36.5%が反逆者という結果になっています。なお、初日の総投票数は478名。
3階にはグッズショップがあり図録やTシャツ、トートバッグ、トランプ、クリアファイルなどの小物まで色々と揃っています。どれもオシャレな感じがするのでついつい欲しくなってしまいます。今回は「赤い風船に手を伸ばす少女」のTシャツとネズミのトートバッグを購入。Tシャツは春になって暖かくなってから着るのが楽しみ。
バンクシー展@名古屋は会場のレイアウトもよく、作品点数も十分あり現代アートが好きな方なら間違いなく楽しめます。20時まで開館していますので仕事終わってからでも間に合います。会期は5月31日(月)までのロングラン開催なので、ぜひ訪れてみてください!
開催概要
イベント名
『バンクシー展 天才か反逆者か』期間
2021年2月3日(水)~2021年5月31日(月)
10:00~20:00(入館は閉館の30分前まで)会場
旧名古屋ボストン美術館(金山南ビル)
愛知県名古屋市中区金山町1-1-1主催
BANKSY~GENIUS OR VANDAL?~名古屋製作委員会後援
FM AICHI / ZIP-FM / K-mix企画制作
IQ ART MANAGEMENT CORP※本展は謎に包まれたアーティスト「BANKSY」によってオーソライズやキュレーションされた展覧会ではなく、コレクターのコレクションが集結する世界巡回展。
ほな!おおきに!