書評「日本の伝統行事」村上龍著







録画して観る数少ないテレビ番組のひとつが「カンブリア宮殿」。そこで紹介されていたのが「日本の伝統行事」。Amazonのレビューでは高評価なのですが価格が4,860円と結構高く、立ち読みできないパッケージだったので躊躇していました。先日、書籍購入の補助制度があったので思い切って購入しました。

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大きさは文庫本の約4倍。装丁は素晴らしく、使われている挿絵や写真もとても美しい。文章は日本語と英語の両方あるため外国の方に説明するときにも使えます。

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別冊にはCDがついています。歌詞が日本語Ver、英語Verとカラオケの3つ。監修が坂本龍一なので、どの楽曲も素晴らしい出来栄え。

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内容紹介 Amazonより
「日本の伝統行事」を見つめ直し、その新しい意義を示す。坂本龍一監修:「日本の童謡と唱歌集」CD3枚付。
全テキスト・村上龍執筆。そのすべてに英訳を併記。膨大な絵と写真。誰もが口ずさめる懐かしい童謡・唱歌が、坂本龍一他、現代の音楽家、演奏者によってよみがえる。

★「日本を代表する表現者が結集」
「取り組んでから約8年、いつ完成するのだろうというような仕事でした。でも、坂本龍一をはじめ、和楽器界のプリンス東儀秀樹さん、藤原道山さん、装幀家の鈴木成一氏、画家のはまのゆかさん、そして、表紙を飾っていただいた女優の綾瀬はるかさん、坂本は親友なのでちょっと別にしても、他の人たちは、忙しいので無理だろうなというダメ元の依頼だったのに、快く応じていただいて、そのたびに、『この本は制作する価値がある』と思うことができました」

★「幼いころの自分を訪ねる、遙かなる旅」
「知っているようで、知らない日本の伝統行事。明治以来の西欧化の大波にあっても、民衆が残してきた数々の習慣、食事、飲み物、衣装、装飾。七夕で短冊に願いごとを書く意味は? 花火大会はどうやってはじまったのか? 祭りの御輿は何を運ぶのか? そもそも神社と寺はどこが違うのか? 伝統行事は、自分が子どものころと、どこが、どういう風に、どうして変化してきたのか? また、変わっていないのはどこなのか? それらを調べ、書いていく作業は、大人になり故郷を離れ、都会に住み、海外体験も重ねたわたし自身が、1950~60年代の幼い自分を訪ねる、遙かなる旅のようなものでした」

★「それぞれの世代、文化圏に」
「年輩の人は、『そうだよな、そうだったよな』、子どもたちや若い人は、『そういうことだったのか』、外国の人は、『日本って、こんな側面があるのか』、そんなこと、いろいろなことを、感じていただけると思っています」

日本人でありながら日本の素晴らしい伝統行事の内容を完璧に伝えられる人はおそらく多くはないでしょう。この本を読んで改めて知ることがたくさんありました。今回は補助制度があったので思い切って購入することができましたが、この内容なら定価でも十分価値があります。どちらかというと子供向けではなく大人向けの内容。海外の方と交わる機会がある方は絶対「買い」の一冊。これで日本の伝統行事を説明されたら尊敬されること間違いありません。

本日2月3日は節分。節分に恵方巻きを食べるのは「日本の伝統行事」ではありません。最近は節分に恵方巻きを食べないといけないような風潮がありますが、太巻きを売るためにコンビニのセブンイレブンが仕掛けたお金儲けが目的のプロモーションで全く伝統のない「偽物」の風習。もちろん、この本には恵方巻きのえの字も載っていません。

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節分に恵方巻きを食べることを否定するわけではありませんが、子どもには節分とはどういう意味があり、どういう伝統行事なのかをきちんと伝えたい。というわけで我が家は節分に恵方巻きは食べません。節分に恵方巻きを食べる風習は翌日の大量廃棄問題や販売をノルマ化するなど様々な問題が湧き上がっているので、長続きしないのではないでしょうか。所詮、お金儲けが目的にしたものは続きませんから。

子どもがちょうど年頃になってきたので、これから行事ごとに一緒にこの「日本の伝統行事」を読んで知識を深めます。

ほな!