書評「仕事なんか生きがいにするな」泉谷閑示著

文化放送のラジオ番組「大竹まことのゴールデンラジオ」のゲストで出演されていた、薬を使わずに「うつ病」を治す精神科医の泉谷閑示氏。ちょうどこの「仕事なんか生きがいにするな 生きる意味を再び考える」の出版のタイミングで色々話をされていました。

 

本が売れるために「仕事なんか生きがいにするな」とキャッチーなタイトルになってますが「労働なんか生きがいにするな」という意味とのこと。「仕事」と「労働」は似ているようで全く似て非なるものなのですが、現代では混同されており、世の中がおかしくなっています。

 

この「仕事なんか生きがいにするな」ではいかに仕事と向き合って楽しく幸せに人生を送ればいいのかが書かれています。気になったポイントを抜き出してみました。

なぜ「労働」が賛美されるようになったのか

消費され消耗してしまうような「労働」の生産物と、ある程度の永続性を持っていて「世界」を作り出すような人間的な「仕事」の質的な違いを、彼ら「労働価値説」論者たちが見落としてしまったことが、大きな問題であると言っているのです。

時間は貨幣だということを忘れてはいけない。
信用は貨幣だということを忘れてはいけない。
貨幣は繁殖しこを生むものだということを忘れてはいけない。
支払いのよい者は他人の財布にも力を持つことができる-そういう諺があることを忘れてはいけない。
信用に影響を及ぼすことは、どんなに些細な行いでも注意しなければならない。
マックスウェーバー

「労働」から完全に離れてしまうことは、人間から活力と生命を奪い去ってしまうことになる。これは、生き物としての一つの真実です。
しかし、だからと言って、「労働」によってほとんどが占められるような生活もまた、決して人間的な生活とは呼べないでしょう。

人間らしい「世界」を取り戻すためには、儲かるとか役に立つとかいった「意義」や「価値」をひたすら追求する「資本主義の精神のエートス」というものから各々が目覚めて、生き物としても「意味」が感じられるような生き方を模索すること。

「本当の自分」になる経験が起こると、必ずや一定期間の後に、「自分」への執着が消えるという新たな段階に入っていきます。

常に「価値」を生むことを求められてきた私たちは、「有意義」という呪縛の中でもがき続けていて、大切な「意味」を感じるような生き方を想像する余裕すらない状態に陥ってしまっているのです。

私たちに問われているのは、「労働」をやみくもに賛美する「労働教」から脱して、今一度、大きな人間として復活することです。

人生を「味わう」ことが、どこか背徳的なことであるかのように見なされ、せいぜい、「労働」という苦役を果たした後に、やっと「ご褒美」でわずかに許されるものと捉えられている実情が、未だに続いています。例えば、会社員が自分の仕事が終わったからといって自分だけ帰ることがはばかられたり、有給休暇を申請しづらかったりするようなことなどは、まさにその典型的な表れでしょう。
このように、ハングリー・モチベーションの季節が終わっても、そのメンタリティを引きずっているのは、言わば、真夏になっても厳冬の冬に役立った分厚いセーターを着込んで汗だくになっているようなものです。昨今わあちらこちらの職場で心身の不調でダウンする人が跡を絶たないのも、このような季節外れの禁欲的精神論が原因となって、多くの人が熱中症に陥っているようなものだと見ることができるかもしれません。

「頭」の計画性や合理性を回避するためには、その対極にある「即興」という概念を積極的に用いてみることがとても有効な方法です。

あえて無計画や無目的に、自分の行動を「即興に委ねてみることによって、私たちの決まりきった日常が、ささやかながらもエキサイティングな発見と創意工夫に満ちたものに変貌するわけです。これを私は「偶然に身を開く」と呼んでいます。もう一つ大切なこととして、「面倒臭い」と感じることを、むしろ、積極的に歓迎してみるという考え方があります。

私たちはもはや「何者かになる」必要などなく、ただひたすら何かと戯れてもよいのではないか。それこそが、「遊び」の真髄だと思います。「心」の向くまま気の向くまま気軽にやってみる。気が向かなければやらない。「継続」などと堅苦しく考えたりせず、ただ壮大な人生の暇潰しとして「遊ぶ」のです。

ここ数年、残業どっぷり、有給休暇はほとんど使わない働き方をしていましたが、部署が変わったこの春から見直すことにしました。できる限り残業はゼロに、有給休暇も世間並みに取得しようと考えています。残業はゼロになりましたが、有給休暇は取れない月もありますので、しっかり消化しようと思います。

時間をかけて仕事をする時代は過ぎさりました。これからはいかに効率を上げて労働時間を短くして結果を出すかが問われる時代になります。そして空いた時間は今後は欧米のように家族と過ごす時間を一番大切にし、本を読んだり、遊んだりしたことが自然と仕事に反映されるようになります。早めに方向転換するためには、この「仕事なんか生きがいにするな」を読んでおくことをオススメいたします。

ほな!

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