どうすれば人工知能に負けずに生き残れるのか?書評「AI VS. 教科書が読めない子どもたち」新井紀子著







ここ最近、どの本屋でもベストセラーの上位に入っている「AI VS. 教科書が読めない子どもたち」。第一線のビジネスリーダーを中心に愛読され現在、1万名以上の人が購読している「トップポイント」の2018年上半期ランキングでも第1位になっていると同時にAmazonレビューでの評価は高いく、楽しみにして読み始めました。


 

著者は日本のAIの第一人者で、東大合格を目指すAIの東ロボくんを作っているメンバーでもあります。この本を読むまでもAIについては、それなりに情報は入れていましたが、過大評価していたことに気づきました。

AIは所詮、コンピューターが数学に置き換えて動くだけのものであり、それ以上でもそれ以下でもありません。人間の感情を汲んだりすることは絶対に不可能ということがわかりました。感情を持っているように見せることはできても真の意味で人間の感情を手に入れることはできません。

よく論議されるシンギュラリティについても、著者曰く、「SFであり、近年のうちには起きえない」と断言しています。どうやら、今のコンピューターを使ったAIの延長線上にはシンギュラリティは起こることはありません。ただし、これまでのコンピューターとは違う画期的な技術革新があるかもしれないので、1%ぐらいの可能性はあるかもしれません。

そもそも、現在のAIでは比較的簡単な文章の判断もできない事例がたくさんあります。
例えば、「明日、岡山と広島に行く」という文章と「明日、岡田と広島に行く」という文章では、人間なら最初の文は「岡山県と広島県に行く」、後の文は「岡田さんと広島県に行く」ということがすぐに理解できますがAIにはこの区別ができません。もちろん、「岡山さんと広島県」に行くという稀なケースもあるかもしれませんが、人間なら簡単に違いを見分けることができます。

AIに代替される仕事や作業はこれからたくさん出てきますが、絶対に代替されない仕事やこれから産み出される仕事もたくさんあります。どんどん進化するAIに負けないためには、まず日本語をしっかりと理解できるようになること。しかしながら、日本の中高生で日本語をしっかりと理解している割合は驚くぐらい低いことがわかっています。具体的にはサイコロを適当に振ったのと同じぐらいの割合しか正解率がありません。

このような状況が続けばAIに代替され仕事がなくなるのはもちろん、外国人にも仕事を奪われていくでしょう。すでにメルカリは採用の9割がインド人などの外国人になっており、今後もこのような状況は続くと思われます。

ここからはAIが苦手とするいくつかの例題を挙げておきます。果たして、全部正解できますでしょうか。

次の文を読みなさい

Alexは男性にも女性にも使われる名前で、女性の名Alexandraの愛称であるが、男性の名Alexanderの愛称でもある。

この文脈において、以下の文中の空欄にあてはまる最も適当なものを選択肢のうちから1つ選びなさい。

Alexandraの愛称は(   )である。
1.Alex
2.Alexander
3.男性
4.女性

当然、正解は1のAlexですが、中学生の正答率は38%、高校生でも65%と低い水準。

次の問題は私自身、文の意味を理解するまでに少し時間がかかりました。さて、正解はどれでしょうか。

次の文を読みなさい

アミラーゼという酵素はグルコースがつながってできたデンプンを分解するが、同じグルコースからできていても、形が違うセルロースは分解できない。

この文脈において、以下の文中の空欄にあてはまる最も適当なものを選択肢のうちから1つ選びなさい。

セルロースは(   )と形が違う
1.デンプン
2.アミラーゼ
3.グルコース
4.酵素

某新聞社の論説委員から経産省の官僚まで、なぜかグルコースを選ぶので驚いたと本には書いてありました。
正解は1のデンプン。よく考えればわかると思うのですが…。

この他にも、色々な問題が出されています。私は奇数と偶数を証明する問題以外は全て正解できましたが、これは毎日ブログを書いて、多くの本を読んでいるからかもしれません。

この本の著者の未来予想図は下記の通り。

企業は人手不足で頭を抱えているのに、社会には失業者が溢れている…。せっかく、新しい産業が興っていてもその担い手となる、AIにはできない仕事ができる人たちが不足するため、新しい産業は経済成長のエンジンとはならない。一方、AIで仕事を失った人は、誰にでもできる低賃金の仕事に再就職するか、失業するかの二者択一を迫られる…。

 
そんな社会の姿がありありと浮かびます。そしてそれは日本にだけで起こることではありません。全世界で起こりることであり、AIによる世界恐慌が始まるのではないかと著者は警鐘を鳴らしています。

巻末に著者からこれからの時代にどうすれば生き延びれるのかが書かれていたので紹介しておきます。

AI時代の先行きに不安を感じ、起業に関心のある方は、ぜひ世の中の「困ったこと」を見つけてください。そして、できない理由を探す前に、どうやったらその「困ったこと」を解決できるかを考えてください。デジタルとAIが味方にいます。小さくても、需要が供給を上回るビジネスを見つけることができたら、AI時代を生き残ることができます。そして、そのようなビジネスが増えていけば、日本も世界も、AI大恐慌を迎えることなく、生き延びることができるでしょう。私たちが、人間にしかできないことを考え、実行に移していくことが、私たちが生き延びる唯一の道なのです。

 
この「AI VS. 教科書が読めない子どもたち」はこれからの時代を生きていく上で必須となる能力とは何なのか、どうすればいいのかをわかりやすく刺激的に教えてくれる良書。ぜひ、手にとって読んでみてください。
 

 

ほな!おおきに!