マーケター視点からみたトランプ氏が大統領になれた理由

ドナルド・トランプ氏が当選して一番困惑しているのは本人ではないかという笑い話もありますがアメリカをはじめ世界が大きく変革するのは間違いないでしょう。トランプ氏当選確実で急落した日経平均株価も翌日には持ち直し元の水準まで戻りました。ただしこれからしばらく株、為替相場乱は乱高下が続くかもしれません。政治的にも経済的にも平和な世の中を望んでいますがこれから先どうなることやら。

今回の選挙戦でトランプ氏が勝った理由はたくさんあると思いますがマーケター視点でたったひとつだけ挙げるならば「選択と集中」に他なりません。実際、総得票数ではヒラリー氏の方が上回っていましたが大統領になったのはトランプ氏でした。アメリカ大統領選挙は州をいかに抑えるかが勝負になり、勝てる見込みのある州に徹底してヒトモノカネを集中させたトランプに勝利の女神が微笑みました。

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「選択と集中」をわかりやすく説明している本があります。

USJを劇的に変えた、たった1つの考え方

USJ(ユニバーサルスタジオジャパン)をV字回復させた森岡毅氏。森岡氏のマーケティング戦略の説明はとてもわかりやすく明快。今までモヤッとしていたことがしっかり書かれています。

選択と集中

100人の軍隊と80人の軍隊が戦ったとします。一人ひとりの戦闘力は全く同じだとしたら、どちらの軍隊が勝つと思いますか?普通は100人の軍隊が勝つだろうと思いますね?しかし実際はそうとも限らないのです。図Aのように、100人の軍隊が20人ずつ部隊を5つに割って攻めてきたとします。

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それに呼応して80人の軍隊も部隊を5つに分けて16人ずつで応戦したらどうなるでしょうか?5つの全ての戦局で数的劣勢が免れません。一人当たりの戦闘力が同じと仮定すると、20人対16人の殺し合いを、1つの戦局で行った結果は「5対0」となり、100人の軍隊が高確率で一方的な勝利を収めることになります。しかし80人の軍隊に優秀な軍師がついて、5隊に分かれた100人の軍隊に対して図Bのように戦ったらどうなるでしょうか。

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80人の軍隊は、隊を5つではなく3つに分けます。そして4番と5番の2局を完全に放棄して、1〜3番の戦局のみ「30人、25人、25人」の3部隊を展開するのです。すると4〜5番は負けるとしても、1〜3番では勝利できます。大局としては「2対3」で80人の軍隊が勝つことができます。数的優位は必ずしも大局での勝利を保証するものでは無いのです。大切な事は、大局で勝つために大事な1戦闘当たりの数的優位をどうやって作り出すか、そのために何をしててどこに集中するのかを選択することです。図Cを見てください。

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100という経営資源を、光のマーケティング活動の全てに割り振ってしまったが故に、どの戦局においても資源が足りず「勝てるライン」に届かないで負けてしまうパターンです。これは予算の分配と見ても構いませんし、部員の人員配置とみても構いません。勝てるラインとは、そこまではやらないと意味のある効果が見込めない一線のことです。マーケティングでは、担当者はあれもこれもやらないと不安になるので、あれこれ手を出して限りある資源をどれも中途半端に消費してしまうことが珍しくありません。
選ぶことで勝利の確率を上げることができます。図Dを見てください。

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TVとWEBとPRに集中することを選ぶこと、つまり雑誌広告とサンプリングをやらないことを選ぶことで、TVとWEBとPRだけは勝ち負けラインに届く経営資源を集めることができました。常に足りない経営資源を、選ぶことで足りるようにするのです。何に集中するのかを選ぶのです。やることを選ぶと言う事は、同時にやらないことを選ぶと言うこと。これが戦略の核となる考え方の「選択と集中」です。全てをやろうとする事は、つまり選ばないと言う事は、戦略がないということです。とりあえず全てをやろうとする事は、意味なく経営資源を分散させてしまうだけ。愚か者のすることです。

USJを劇的に変えた、たった1つの考え方」より引用

 

今回の選挙戦はまさにこのパターンに該当するのではないでしょうか。ただしドナルド氏が優秀だったのではなくドナルド氏の選挙参謀に優秀な方がついたから勝てただけのこと。今回の大統領選挙ではSNSをはじめとしたWEBの力が大きく作用した選挙でもありました。新聞、テレビなどの旧態のマスメディアはヒラリー氏を押しておりましたが選挙民はそれに踊らされることなくネットで情報を集めドナルド氏を選びました。

果たしてドナルド氏を選んだことが正解だったかどうかは半年後、一年後にならないとわかりませんがアメリカ国民が変化を求めていたのは間違いない事実。グローバルな時代、日本を含めた他国もそれについて行くことが求められています。

森岡毅氏のこの本もオススメですが「USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか? 」は森岡氏のほとばしる情熱がガンガン伝わってくるのでビジネスマン必読の一冊。マーケティング担当者だけではなく全ての方にオススメいたします。

ほな!

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