これからはアート思考で生きよう!書評「ハウ・トゥ アート・シンキング」若宮和男著







以前、社内の異業種交流会の講師として登壇された若宮和男さんが本を出版されました。ワタクシが勤めている会社は創業400年の老舗企業ということもあり以前は講師を招いてもスーツを着た方がほとんどで内容も堅いものが多かったのですが若宮さんは見た目からして違いました。

短パンにキャップというDJラッパーのような出で立ちで登壇され、うちの会社も変わってきたな…と。その時の講演については今回省きますが未だかつてない楽しい内容で、ワタクシより若いものの、この人は只者ではないと感心しました。

若宮さんは建築士から東大のアート研究者になった後、大手企業やスタートアップ企業などで勤務し、今は「全員が複業」というuni’queという会社を立ち上げられています。講演の中でも複業することにより本業にもいい影響があるという複業のメリットを語っておられました。しかしながら我社は未だに副業(複業)禁止のまま…。複業を薦めている若宮さんを講師に呼んでおきながら複業が未だに解禁されないのはこれいかに(笑)

さて、その若宮さんの初の著書がアート思考について書かれた「ハウ・トゥ アート・シンキング」。出版後すぐに購入したものの、殊の外、読書に割く時間が取れずしばらく積ん読になっていましたが先日読み終えました。読み始めたらすこぶる面白くあっという間に読了。この本は随所にアートシンキングの要素が組み込まれています。

例えば、表紙の帯が表紙のタイトル文字に被っているのですが決してデザインミスではなくあえてアート的な要素を取り入れていると思われます(ワタクシの憶測ではありますが)。


 

また通常この手のビジネス本は終盤に行くに従って段々と内容が難しくてややつまらなくなるのですが、この本に限っては全くそういうことがなく読み終えることができました。その理由は最後のページに辿り着いた時にわかりました。ネタバレになるのでここでは書きませんが思わずニャッとしました。みなさんならどうやって終盤の章まで読者を飽きさせずに面白く楽しませるでしょうか。ぜひ読む前にシンキングしてみてください。
※答えは276ページにあります

世の中には◯◯シンキングというものが色々あります。代表的なのはロジカル・シンキング、デザイン・シンキング、そしてアート・シンキングでしょうか。ロジカル・シンキングは「説明文」、デザイン・シンキングは「キャッチコピー」、アート・シンキングは「詩」によく例えられます。ロジカル・シンキングの「説明文」は誰にでも比較的わかりやすいのですが、アート・シンキングの「詩」はかなり掴みにくいのではないでしょうか。「詩」の特徴は「違和感の組み合わせ」、擬音語の「オノマトペ」、「韻文的文法」などが挙げられます。「詩」は何かを伝えるのにはとても非効率でモヤモヤとした感じなのですが、この動的な状態から生き生きとした新しい価値が生まれます。効率を求めて無駄を排除するのではなく、あえて非効率で無駄を作ることによって新しいモノが生まれます。

アート・シンキングの特徴のひとつとして「自分」を起点にするということが挙げられます。ビジネスでは通常相手のニーズに合わせることが求められますが、実はそれが「価値をなくす」ことに繋がります。知らず知らずのうちに相手に同質化することにより価値がどんどん下がっていきます。若宮さんのファッションがスーツにネクタイではなくキャップに短パンなのは同質化を避けてオリジナリティを出すためだということがこの本を読んでわかりました。スーツの面々の中にキャップと短パンで出向くのは相当勇気がいると思いますがここで折れてスーツにネクタイになれば他の講師たちと同質化し記憶に残らなくなります。

今までの日本は製造業などがものづくり中心であったため、他の人と同じような行動、ファッションで同質化することが求められていましたが、これからはITを始めとするサービス中心の産業に移行していくため、いかに他人と違ったことを考え、表現していくかというクリエイティビティが求められます。毎朝、同じ電車に乗り、同じようなスーツとネクタイで出勤し、仕事が終わったら真っ直ぐ家に帰るというパターンでは何一つ新しい発想は生まれず、生き残っていけません。「自分」を起点として自由に行動して常に新しいことを体験していくことが重要になります。

ではここで下記のことにチャレンジしてみてください。

自分を表す特徴を10個書き出してみます。その中で自分以外にもあてはまる性質には×をつけてみましょう。自分だけの性質はなにが残りますか?

 

さて、いくつ残ったでしょうか。×ばかりで一つも残らなかった方は生き方や思考法を変えないと間違いなく食えなくなります。逆に一つも×がないという方はほとんどおられないような気がしますが、最低限3つ以上自分だけの性質がないと厳しいような気がします。その3つが百人に一人のような突出している性質であれば100×100×100で百万人に一人のレア人材になれますので確実に生き残れます。

この「ハウ・トゥ アート・シンキング」はこれからの時代を生き残るためのノウハウが存分に詰まっています。これだけの内容がわずかな金額で手に入る「本」はやはり最高の投資であることは間違いありません。この本は1回読んだだけではまだまだ理解できないこともたくさんありますので繰り返し読んでしっかりと知識として習得し実践していきたいと思います。

世間では黒字リストラが各企業で始まっており、今後もどんどん広がっていくと思われます。オリンピックが終われば景気は間違いなく後退し、そうなればさらに加速するような気がします。その時に慌てないよう今からアート・シンキングを学び楽しく仕事ができて稼げるようになっておきませんか。そして複業も少しずつ準備をはじめて解禁になったら即スタートできるようにしておく方がいいと思います。

ハウ・トゥ アート・シンキング」は社会人はもちろん、学生の方まで幅広い層にオススメできる一冊なのでぜひ読んでみてください。


 

ほな!おおきに!