書評「Au オードリー・タン 天才IT相7つの顔」アイリスチュウ・鄭 仲嵐著







先日、オンラインサロン「空の塾」で「今年読んだオススメ本を紹介しよう」という企画を実施しました。10名の塾生が参加し、各々オススメの本をプレゼンしました。ビジネス書から小説、絵本まで様々なジャンルの本が紹介されました。その中で以前から気になっていた台湾のデジタル担当政務委員(いわゆるIT大臣)であるオードリー・タン氏に書かれた「Au オードリー・タン 天才IT相7つの顔」があり、早速購入しました。


ただし、ちょうど届いたタイミングで鬼滅の刃のコミック全23巻を買ってしまい、そちらに夢中になってしまったので読むのが一週間遅れました(笑)

 

オードリー・タン氏には様々な逸話があり、IQ180、学歴は中卒、独学でプログラミングを学び、シリコンバレーで成功した起業家、1ページ0.2秒で資料を読む、トランスジェンダー、学生運動を支持する無政府主義者など…。

この本を読んで天才は天才でたいへんだということがよくわかりました。確かに常軌を逸した天才だと普通の生徒と一緒に勉強してもあまりにも違いすぎて先生も周りの生徒もついていけません。小中学校時代は相当苦労し、その後、様々な出会いがあり天賦の才能を活かすことができ、今に至ります。

世の中にはあまりにも才能がありすぎて不幸にも潰れてしまう人も多く、特に同調圧力が強い日本ではその傾向は強く、能力を活かせないまま埋もれてしまう天才少なくありません。さらにトランスジェンダーならより一層花開くことは難しくなると思われます。なんとももったいない…。

その点、オードリー・タン氏は運にも恵まれましたが、彼女の才能を引き出してくれる台湾の環境によってその才能は開花しました。もちろん、彼女一人の力だけではなく周りの優秀な方々との連携があってこそですが、やはりズパ抜けた能力は大きな原動力となっています。

彼女の能力で一番羨ましかったのは寝る前に会議の資料や本のページをパラパラとめくりそれを寝ている間に読み終えることができるということ。おそらくフラッシュ記憶ができてそれを睡眠中に定着させるということだと思いますがいやはや凄い。通常であれば睡眠時間を削って読まなければなりませんが、寝ている間に読み終えることができれば身体も休まるし一石二鳥。ただし常人には真似できませんが…。

巻末には「Q&A オードリーに聞いてみよう!」というコーナーがあり未来を変える思考法や何事にも打ち負かされずに生きる秘訣を答えてくれていました。

その中からいくつか紹介します。

Q:子供時代の家庭教育で人生に最も大きな影響があったのはどんなことでしょう。

A:父からはどんな権威も信じないように教わりました。母からは個人的な感じ方でも文字にすれば他人と共通の感情が生まれると言う意義があることを教わりました。

 

Q:新しいことを学ぶときの秘訣は何でしょう。

A:新しい習慣を作ることを習慣にすることです。例えば外国語の学習で学ぶ言語の種類が多ければ多いほどコツをつかめば学ぶのが容易になります。意識して新しい習慣を作ることができればこうしたこともどんどん上手くなっていきます。

ただ普通は新しい習慣は一度に1つ作ればよく、いっぺんに多くの習慣を作ってはいけません。「禁断症状」が出てなかなか成功しなくなるからです。科学的な研究によると新しい習慣を1つ作るには一般的に約2ヶ月かかります。難しいように思えても、決心して実行すれば、1年で6つの新しい習慣を作ることができます。

 

権威を信じないようにというのはまさにその通り。IPS細胞でノーベル賞を受賞したY中教授は研究資金確保のためにスポンサーに魂を売り渡し、ランニング中もマスクをしないと感染すると言ったり、北大のN浦教授とともに「何もしなければ40万人が死ぬ」などという嘘をつきました。権威があるからといって信じてはいけない典型的なパターン。

巻末には台湾が新型コ口ナウイルスに対してどのように対処し、ほぼ封じ込めることができたのかが書かれていました。一番の要因は「中国からの渡航者を止めて、徹底的に検疫した」ということとITを駆使して感染者を特定し囲い込んだこと。12月初旬の台湾のコロナの累計感染者は679人、死亡者はたったの7人。先日8ヶ月ぶりに感染者数が確認されたというとんでもないレベル。日本は当初、オリンピックを開催することを前提に動いていたため何十万人という中国からの渡航者をそのまま入国させ一気に感染が広まりました。

冬になりウイルスが活発になったため一時は終息したかに見えたコロナウイルスをはじめ、全世界で様々なウイルスが蔓延しています。微細なウイルスをマスクで防げるはずはなく、対策は手洗い、うがいをして各々が免疫力を高めるしか方法はありません。GoToトラベルをやめても、飲食店の営業時間短縮をしても、ソーシャルディスタンスをとってもウイルス感染は昨年と変わりません。なぜ、そんな簡単なことがわかならいのかが本当に不思議。

一日も早く国民が政府やマスコミの洗脳から目を覚まして今まで通りの生活ができるようになることを願っています。

話が逸れましたがこの「Au オードリー・タン 天才IT相7つの顔」はオードリーという人物を知るには最適であり天才所以の苦悩をも知ることができます。一方で、日本のIT大臣のあまりの違いに落胆することは覚悟の上でお読みくださいwww。

内容「BOOK」データベースより

新型コロナウイルスが席巻する中、いち早くマスクマップアプリを開発。世界に名を馳せた台湾のデジタル担当相には、逸話が多い。いわくIQ180、学歴は中卒、独学でプログラミングを学び、シリコンバレーで成功した起業家、1ページ0.2秒で資料を読む、トランスジェンダー、学生運動を支持する無政府主義者―ハンドルネームAuで知られる伝説の天才は、「人工知能は永遠に人間の知恵に取って代わることはない」と語る。時代に選ばれた新しい才能を徹底解剖する。

著者略歴「BOOK著者紹介情報」より

チュウ,アイリス
コラムニスト。記者、編集者、翻訳、脚本などの仕事を経験し、台湾で「文化部電影優良脚本奨」や「キリスト教華文創作金奨」などを受賞。「経理人月刊」編集長、「数位時代」編集総監、時報出版副編集長などを歴任

鄭/仲嵐
1985年生。英ロンドン大学東洋アフリカ研究学院修了。台湾の輔仁大学在学中に日本に留学。台湾のテレビ局で勤務後、現在はBBCやDW中国語、台湾の聯合報などのメディアで記事を執筆。また、ニッポンドットコム多言語部スタッフライター・編集者として台湾、香港などをカバーしている。

ほな!おおきに!