このままでは日本が滅びる!書評「未来の年表」 河合雅司著







Amazonで欠品を起こすほどのベストセラーになっている 河合雅司著「未来の年表 人口減少日本でこれから起こること」がやっと届いたので早速読みました。

 

今までおぼろげに、このまま少子高齢化社会を迎えるとマズイとは感じていましたが実際に数字を突きつけられて年表を見ると本気でマズイことがハッキリとわかります。このままでは日本に幸せな未来はありません。解決する方法が書いてありますが実際に実行するには相当な努力と痛みを伴います。

せめて20年前に政府が本気で少子化対策をしていればかなり違ったと思いますが、団塊ジュニア世代が既に40代半ばになり、女性が子どもを産むにはもう手遅れ。出生率が多少上がったところで出生数は増えません。ボリュームが減ったものにいくら掛け算してもレバレッジは効きません。このままではジェットコースターの下り坂のように人口が減り続けます。危うし日本。

日本の課題を改めて整理するなら4点に分けられます。1つ目は出生数の減少、2つ目は高齢者の激増、3つ目は勤労世代(20〜64歳)の激減に伴う社会の支えの不足、そして4つ目はこれらが互いに絡み合って起こる人口減少。

 

では2017年からどのようなことが起こっていくのか見てみましょう。恐ろしい現実が待っていますが目を逸らしてはなりません。

2017年 「おばあちゃん大国」に変化
日本人女性の3人に1人がすでに65歳以上。高齢者がより高齢化する時代に。

2018年 国立大学が倒産の危機へ
18歳人口が急減し始め、定員割れは当たり前。学生の募集を停止する流れが加速する。

2019年 IT技術者が不足し始め、技術大国の地位揺らぐ
社会インフラの老朽化も進む。だが、それらを支える技術者の後継者がいない。

2020年 女性の2人に1人が50歳以上に
「出産できる女性」が激減する日本 少子化はさらなる少子化を呼ぶ

2021年 介護離職が大量発生する
団塊ジュニア世代が50代に突入し、企業は管理職の人材不足に悩む時代が来る

2022年 「ひとり暮らし社会」が本格化する
独居世帯は3分の1超。ひとり暮らしをする貧しい高齢者の急増が大問題に。

2023年 企業の人件費がピークを迎え、経営を苦しめる
労働力人口が5年間で300万人も減る一方、団塊ジュニア世代が高賃金をもらう50代に突入。

2024年 3人に1人が65歳以上の「超・高齢者大国」へ
全国民の6人に1人が75歳以上、毎年の死亡者は出生数の2倍。老老介護がのしかかる。

2025年 ついに東京都も人口減少へ
息子や娘を頼る高齢者が、若者の代わりに地方から東京に流入し始めると…。

2026年 認知症患者が700万人規模に
「認認介護」が急増、介護する側もされる側も認知症患者という現実が待ち受ける。

2027年 輸血用血液が不足する10年後)
輸血用血液はその80%が、がんなどの外科手術に使われる。手術ができない事態も?!

2030年 百貨店も銀行も老人ホームも地方から消える
生産年齢人口が極端に減り、全国の都道府県の80%が生産力不足に陥る。

2033年 全国の住宅の3戸に1戸が空き家になる
増大する「老いる家」のせいで街の景観は崩れ、治安も悪化していく。

2035年 「未婚大国」が誕生する
男性の3人に1人、女性は5人に1人が生涯未婚。

2039年 深刻な火葬場不足に陥る22年後)
国内死亡者数が約168万人とピークを迎え、霊園不足という難題も降りかかる。

2040年 自治体の半数が消滅の危機に
青森市・秋田市などの県庁所在地ですら、消える可能性がある。

2042年 高齢者人口が約4,000万人とピークに25年後)
就職氷河期世代が老い、独居高齢者が大量に生まれる2042年こそ「日本最大のピンチ」。

2045年 東京都民の3人に1人が高齢者に
東京圏でも限界集落が続々出現、東京郊外はゴーストタウン化してゆく。

2050年 世界的な食料争奪戦に巻き込まれる
日本が人口減少する一方、相変わらず世界人口は増え続けて約100億人に。

2065年〜 外国人が無人の国土を占拠する
現在の居住地域の約20%が「誰もすまない土地」になってしまう。その時日本は…。

このまま何も対策せずに過ごしていると上記のような事態に陥ります。それを多少でも軽減する方法が「第2部 日本を救う10の処方箋」に書いてあります。ただし、これに取り組むには我々日本人が意識を変えて様々なことを我慢する必要があります。人口ボーナス期が去って人口オーナス期を迎えた今、20世紀の成功体験を捨て去り考え方を根本からドラスティックに変えなければなりません。

次世代のために、いま取り組むこと

1.「高齢者」を削減

高齢者の定義を変更し65歳から75歳に変更する。定年も遅らせて労働者不足を補う。

 

2. 24時間社会からの脱却

日本の「便利さ」は先進国の中でも突出している。24時間365日コンビニやファストフード店が開き、元旦から百貨店や大型スーパーで初売りを行う。ネットや電話で注文すれば当日でも商品が届く。確かにこうした利便性が日本経済の成長を押し上げてきましたが、働き手がいなくなるためゆくゆくこういったサービスは無理が生じます。

 

3.非居住エリアを明確化

人が住む地域と、そうではない地域とに国土を色分けしコンパクトで効率的な国に作り替える。人口が激減し日本列島はスカスカな状況になった後も人々が思い思いの土地に住むのでは、行政コストから考えてもあまりに効率が悪い。

 

4.都道府県を飛び地合併

東京都島根県を合併するぐらいの発想が必要。自治体の線引の見直しは必須。

 

5.国際分業の徹底

得意分野だけに資源を集中させる。国レベルで得意な分野にマンパワーを集中させ発展させる。

 

6.「匠の技」を活用

イタリアをモデルにした「匠の技」を活用した高付加価値の製品づくりを目指す。低価格・大量生産・大量消費では生き残っていけない。

 

7.国費学生制度で人材育成

必要とする人材に国が資金を提供して人材を育成する。

 

8.中高年の地方移住推進

日本版CCRC普及による中高年き地方移住の推進。米国では大学連携型CCRCと呼ばれるコミュニティが広がっている。リタイア後のまだ元気なうちに都会から移住し、大学キャンパスで学生生活を楽しみ、身体が弱って医療や介護が必要となったら、同一敷地内にある大学病院直結の分院や介護施設で不安なく最後まで暮らせる地域共同体である。これを日本流にアレンジ。

 

9.セカンド市民制度を創設

都会の住民が出身地に限らず、お気に入りの旅行先などを「第2の居住地」として選び、「セカンド市民」として“住民登録”する。

 

10.第3子以降に1000万円給付

日本では未婚で出産する女性は少ないことを考えれば、第1子対策は結構ん支援制度が最も効果的。真っ先に取り組むべきは雇用を安定させ、出会いに恵まれない人のきっかけをつくることである。お見合いの復権にも期待したい。第2子を増やすには長時間労働の是正。第3子以降では経済的負担が大きくなるため子供一人につき1,000万円規模を給付する制度を導入。

巻末には著者が未来を担う中学・高校生や大学生にメッセージを伝えたいということで、これからどう生きていけばいいかが書かれています。この「未来の年表」を一人でも多くの人に読んでいただき、これから起こる日本の未来予想図を少しでもいい方向へ導いていければ幸い。日本人なら必読の一冊!

ほな!