違法アップロードの漫画村と中古マーケット市場は作家に印税が入らないという観点からすると違いはないのでは?







漫画を違法にアップロードしていた漫画村などの一連のサービスが大きな社会問題となりました。政府がプロバイダーに対して漫画村へのアクセス遮断を推奨し、NTTグループが漫画村へのアクセス遮断を行うなど異例の事態に発展し、漫画村は閉鎖されました。そして、先日首謀者ほかが逮捕され一連の事件は近いうちに収束すると思われます。

しかしながら、イタチごっこで、そのうち似たようなサイトが出てくることは間違いありません。なお、漫画村などの違法アップロードサイトを利用しても違法にはなりません。使っていいという訳ではありませんが、現状の著作権法では「インターネット上に違法にアップロードされている、有償の映像または音楽を含むコンテンツを、違法であると知りながらダウンロードをする行為」は罪に問われますが、ただ閲覧しているだけなら逮捕されるということはありません。

かと言って、こういったサイトを使うことを推奨している訳ではありませんが、ふと思ったのは作家に印税が入らないという観点からは違法アップロードも中古マーケット市場も同じなのではないかということ。

違法アップロードのサイト業者は閲覧した際に表示される広告で収入を得ており、BOOK●FFなどの中古マーケットは安く仕入れて高く売る差益で収益を得ています。ECサイトの中古市場の場合はマンガ本を売った本人とAmazonやメルカリなどの仲介業者に収益が発生します。いずれも作家には全く印税が払われません。

作家に恩恵がないという意味ではどちらも似たり寄ったりなのに、なぜ違法アップロードサイトだけが目の敵にされるのでしょうか。むしろ、手元に実物が手に入って所有欲も満たしてしまう中古マーケットの方が、作家にとっては敵なのではないかと思います。漫画村などで読み始めたけど、やはり手元に置いておきたくて新品の漫画本を買う可能性はありますが、中品本を買って読んだ後に新品の本を買いなおすということはまずないでしょう。

違法アップロードサイトは法律に違反しているので決して許されることではありませんが、著作権を持っている出版社が無料でアップロードしたら良いのではないでしょうか。ネットが普及したこれからの時代、著作権というものは無くなる方向へ向かっています。一歩、二歩先を見ているキングコングの西野亮廣氏は絵本「えんとつ街のプペル」をすべてネットで無料公開。さらにグッズなどの使用権もフリーにして自由に使えるようにして、広範囲に情報がシェアされ、絵本の売上も大幅に増え大成功をおさめています。もちろん、単に無料公開しただけではなく、緻密な戦略と凄まじい努力があってのことではありますが。

出版社のお偉い様は漫画や本が売れないのは違法アップロードの影響だと仰っていますが勘違いも甚だしい。全くゼロではないでしょうが、根本的な問題はネット社会に対応できていないことと人口が減っていることに他なりません。すでに雑誌は月額数百円で読み放題のプラットフォームはたくさんありますし、音楽も定額ストリーミング再生がメインストリームになってきており、ひとつ当たり単価はどんどん無料に近づいています。この一連の流れを変えることはできないでしょう。

もし、今までと同じような売上を確保したいのであれば、新しいアイデアが必要。コミックは決して良くない紙質、モノクロで400〜500円前後で販売されていますが、これでは所有欲は湧かないのでネット閲覧に取って代わられます。例えば、紙質を上げ、フルカラーにすれば1,200円〜1,500円ぐらいであってもファンは買うのではないでしょうか。出版社はまずは自社のサイトでこれを1/3ぐらい無料公開して続きが読みたかったらコミックを買ってねとリンクを貼っておけば相当数が買うはず。さらに大判サイズを数量限定で販売すれば希少性も出るのでマニアはこぞって買うと思います。

ネットが普及したことにより、昭和、平成のビジネスモデルは通用しなくなりました。これからの令和の時代はネットの特性を理解して、早く対応して変化した者だけが生き残ります。

今後10年を見通すための必読書紹介しておきます。

ほな!おおきに!