VUCAの時代に必要なスキルを磨く!書評「ぐんぐん正解がわからなくなる! アート思考ドリル」若宮 和男著







以前、社内の異業種交流会の講師として登壇された若宮和男さんが2冊目の本 「ぐんぐん正解がわからなくなる! アート思考ドリル」を出版されました。ワタクシが勤めている会社は創業410年の老舗企業ということもあり、講師を招いてもスーツを着た方がほとんどで内容も堅いものが多かったのですが若宮さんは見た目からして違いました。

短パンにキャップというDJラッパーのような出で立ちで登壇され、うちの会社も変わってきたな…と。その時の講演については今回省きますが未だかつてない楽しい内容で、即座に只者ではないとわかりました。

若宮さんは建築士から東大のアート研究者になった後、大手企業やスタートアップ企業などで勤務し、今は「全員が複業」というuni’queという会社を立ち上げられています。講演の中でも複業することにより本業にもいい影響があるという複業のメリットを語っておられました。しかしながら我社は未だに副業(複業)禁止のまま…。複業を薦めている若宮さんを講師に呼んでおきながら複業が未だに解禁されないのはこれいかに(笑)

ちなみに一冊目の「ハウ・トゥ アート・シンキング」は未だかつてない内容で色々な学びがありました。

これからはアート思考で生きよう!書評「ハウ・トゥ アート・シンキング」若宮和男著


 

今回の「ぐんぐん正解がわからなくなる! アート思考ドリル」はタイトル通り、ぐんぐん正解がわかならくなるというか正解がないことが世の中にはたくさんあるということを知ることができる一冊。


 

帯にある「テーブルにある2枚のカードはどんな形でしょうか?」という問いに対して、実は何通りもの形があることに気づかせてくれました。本書では6パターン載っていましたが、もっと他にもあるかもしれません。

 

また「点Aと点Bを結ぶ一番短い線は?」という問いには答えがありますが、「一番長い線は?」という問に対しては答えがありません。1つの答えが導けない問題を「不良設定問題」と言います。問題自体がこのままでは不良なので「先は紙をはみ出さないこと」など新たな条件を設定しないと解けません。

 

しかしながら実は世の中の問題はほとんどが「不良設定問題」であり、これを解いていくのが人間としての仕事になります。答えが誰でも導き出せる問題はコンピューターやAIに勝てませんが、このような「不良設定問題」はコンピューターやAIでは解くことができず人間が得意とする分野になります。

ドリルは12あり、上記2つのほか、音楽の五線譜の記号が音符ではなく☆や△、曲線やカタカナだったり…と頭を捻らないと解けないドリルばかり。「当たり前」や「思い込み」から思考を解き放つことができるドリルになっています。正解はないので、どんどんわからなくなっていきます(笑)

 

巻末にはこの本を入れて「あなたならではの写真作品」を作ろう!という課題があり、チャレンジしてみました。

 

アートっぽい作品に仕上がっているでしょうか。

 

この「アート思考ドリル」はおそらくベストセラーにはならないような気がしますし、万人にオススメできる本ではありません。しかしながら、これからのVUCA※の時代には必要になってくるアート思考をドリル形式で学べる貴重な一冊になります。
 

※VUCAとは

一言で言うと「先行きが不透明で、将来の予測が困難な状態」を意味します。元々は1990年代後半に軍事用語として発生した言葉ですが、2010年代に入ると、昨今の変化が激しく先行き不透明な社会情勢を指して、ビジネス界においても急速に使われるようになりました。
VUCAは下記の4つの単語の頭文字をとった造語です。

V(Volatility:変動性)
U(Uncertainty:不確実性)
C(Complexity:複雑性)
A(Ambiguity:曖昧性)

 

美術館などのアートが好きな方、近代アートがよくわからなくてモヤモヤする方、「先行きが不透明で、将来の予測が困難な状態」に上手く立ち回りたい方は、ぜひ、この「アート思考ドリル」を読んで実践してみてください!

 

今年のGWは外に出かけにくい雰囲気なので、こういった時間と手間のかかる本を読みながらゆっくり過ごしてみてはいかがでしょうか。

 

ほな!おおきに!